2011年12月14日
世界初の天才マーケター三井高利
世界初の天才マーケター三井高利
今から約340年前の江戸時代に、
世界初の天才マーケター三井高利(1622~1694)が登場しマーケティング革命を起こしました。
高利は、三井財閥の家祖で、1673年(延宝元年)越後屋(のちの三越)江戸店を開店しました。
天才マーケタ―は様々なマーケティングアイデアを打ち出します。
「現金掛値なし」、反物の切売り、店内分業制、仕立て販売、諸国商人売り、特価販売、宣伝を次々と打ち出し、越後屋をたちまち人気店へ押し上げました。
当時の店頭の看板にも「現金掛値なし」と明記するほど、「現金掛値なし」は世界初の定価(正札)販売だったのです。
江戸では実際の売値より高く値付け販売する掛値が当然でした。
呉服は品質も千差万別で素人ではなかなか判別できません。
呉服の素人同然で目利きのできないお客さんに対し、たいした商品でもないのに値段をふっかける掛値をして暴利をむさぼる呉服屋が横行していました。
実際の相場価格を知っているお客さんやお得意客は、掛値を値切って購入するのが当たり前でした。
高利は、お客さんの無知に付け込んだ悪質な商売方法に疑問を持ち、他店より価格を抑え、誰でも分かるように最初から正直に値段を店頭表示したのです。
現代の小売店では、店頭で価格表示されていない商品は見かけることはありません。
そのマーケティング革命を高利が世界で初めて実践したのです。
単に、価格表示するだけでそれのどこがマーケティング革命だと思われるのかもしれません。
店頭表示していなければ、商品知識のないお客さんへ掛値して、ふっかけることもできますが、そのようなあこぎなことをしないという宣言でもありました。
店頭は誰でもが見ることができる公の場所です。
公の場所で価格を公明正大に表示することで、お客さんの無知に付け込み利益を得ることができないように自ら手足を縛ることなのです。
正札、店頭価格を表示することで、着物に知識のないお客さんも安心して購入できるし、目の肥えたお客や同業者にも越後屋の販売粗利が透けて見えます。
価格設定も販売側の都合で高くつけない、ふっかけて商売をしない、お客さん目線の正直な販売だったことの証明です。
一方、定価販売を維持するには、厳密な単品管理が必要でした。仕入れも大雑把にはできません。
一つひとつの商品を吟味し、見極め、できるだけ安価に仕入れる能力が求められます。
正札を付けるのは、日本のお客さんに不利益を与えない、お客さんに喜んでもらいたいという高利の商人哲学が垣間見えます。
◆◆伊敷豊著「日本の流儀」P38より◆◆
Posted by 伊敷豊 at 10:00│Comments(0)
│ツイてる伊敷豊の独り言
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。