やられたら倍返し~半沢直樹

伊敷豊

2013年08月07日 09:58

TBS日曜劇場「半沢直樹」は面白い!

普段、地上波はほとんど見ないのですが、
知合いから「このドラマ面白いよ」と言われてみたのがドラマ「半沢直樹」でした。

8月4日に初めて視聴しました。

ドラマ内容は割愛しますが
大和田暁役の香川照之さんの演技が凄い。

後ろ姿で演じられる俳優です。レベルの高さにはシビレますね。

原作は、池井戸潤さんの著書『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』 (文春文庫)。

原作は購読していませんが、読みたくなりました。

「半沢直樹」では「やられたら倍返し!」というフレーズや視聴者に受けているようです。

銀行の内幕を赤裸々に描いたスリリングな展開が注目されていますが
池井戸さんの意図は、「バンカーとしての誇り」だったのではないでしょうか。

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「バンカーとは」

バブル崩壊後、銀行による貸はがしが横行しました。
金融庁による自己資本率8%が設定されたためです。

そのために不良債権を処理を急がせる失策をしたわけです。

例えば自己資本80億円、資産1000億円であれば、自己資本率は8%になります。

仮に10億の不良債権を処理すれ(自己資本80億円-10億円)÷(資産1000億円-10億円)=自己資本率7.07%です。

自己資本率を8%に戻すには分母の資産を115億円減らさないといけなくなる。
そうなると貸しは剥がし、貸し渋りがますますひどくなるという悪循環が生まれたのです。

中小企業は、基本的に資金繰りは厳しいのが現状です。

貸し剥がし、貸し渋りで多くの中小企業が倒産したのです。

貸し剥がし、貸し渋りには本来のバンカーの姿はありません。

単なる金貸しです。




10年ほど前に、「地域が変わる!今こそ望まれる金融環境づくりを―行政主導の金融再編ではなく、貸し手、借り手がつくる金融新時代―」をテーマにした金融シンポジウム(東京都信用金庫協会、東京中小企業家同友会共催)に参加しました。

米国の金融業界に詳しい由里宗之氏は、中小の地域金融は相互扶助組織であると指摘したことには驚きました。

ドナルド・メンゲドス米国銀行協会会長の名言
「(開拓時代からネットバンキングの今日まで)コミュニティ銀行業は実は少しも変わっていない。それはいつも、人々が人々を助ける(people helping people)営みなのだ」

地域金融が原点に戻り、借入人の性格や金融役職員との信頼関係が、貸し倒れの程度に影響を与えることから
地域金融機関の自己査定を金融監督当局が尊重することをシンポジウムでは提起されていました。

以前、私は地元の新聞論壇に次様なことを提案しました。

・政府・金融監督当局は、地域金融機関と中小企業を大企業、大手銀行といっしょにせず、地域金融機関と中小企業の相互扶助的な実態に即した金融環境づくりに協力することが必要である。

・地域金融機関が中小企業との信頼関係を再度構築し支えることが中小企業の成長につながり、地域経済を活発にし、しいては日本経済再生につながる。


貸手である金融役職員と借手である中小企業経営者との信頼関係が貸し倒れに影響のです。



「半沢直樹」で半沢が、藤沢未樹役の壇蜜に、銀行から融資を提案します。
自分の店を持ちたい藤沢未樹の事業家としての資質を半沢は見抜いたのです。

中小企業の経営者と寄り添い、陰に日向に支えて、
事業を軌道に乗せていくのが、本来のバンカーとしての仕事です。

中小企業が健全に運営されることで、
そこで働く従業員やその家族も幸せに暮らすことができるのです。

バンカーは、経営者だけなく、従業員やその家族まで思いを馳せるのです。

「半沢直樹」が基本性善説があります。

基本性善説に違和感がある人は多いとおもいます。
しかし、性善説に立たないと信頼関係は構築できません。もちろんメキキは必要です。

経営者との信頼関係を構築することがバンカーとしてのあるべき姿なのです。

ドラマ「半沢直樹」には、バンカーとしての誇りを感じるのです。

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