2012年08月19日

「響く言葉」を用意できる人

「響く言葉」を用意できる人

ロンドンオリンピックが幕を閉じた。

目だったのが競泳のメダルダッシュです。
2008年の北京五輪ではメダルは合計5個。
今回のロンドン五輪では金メダルはなかったものの合計11個です。

平井伯昌・代表ヘッドコーチは「北京五輪はアテネ五輪の『生き残り』が頑張った。今回のメダリストは4年後も期待できるメンバー。次のステップへのお膳立てができたのでは」と会見でコメントしています。

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日本が獲得したメダルは38個。約3分の1を競泳がメダル占めたわけですから、平井さんコメントは謙虚ですね。

単に謙虚というわけではなく、平井さんらしい、先を見通したコメントです。

メダルが倍増したのには理由があります。


平井さんには、人を見抜く力がありました。

平井さんが北島康介に声をかけたのは、北島康介が活躍してからではありません。

北島康介に声をかたけときは、体が硬く、痩せて、泳ぎのセンスもない、どちからというとまわり方は「こんな選手を指導してどうなるの?」と冷ややかに見られたという。

どうしても活躍して目立つ選手に目がいきがちです。

でも、埋もれている選手の潜在的能力を見抜き、指導し、才能を開花させることは容易なことではありません。

平井さんは、無名な北島康介を金メダルリストに育て上げ、今回のメダルダッシュを演出したわけです。

平井さんはまさに現代の伯楽です。


平井さんが伯楽になれたのは、琴線を見抜く力を養ったことです。

平井さんは、早稲田大学生の時代に、マネージャーになり、コーチする面白さをしり東京スイミングセンターに就職しました。

東スイの先輩コーチの青木氏から「現場に答えがある。選手自身を知ること。才能を見極めること。大胆な仮説を立てること」など、指導者としての神髄を学びました。

平井さんは、自らの琴線力を高めことで、選手の琴線を見抜く力となるわけです。

琴線が分からなければ、人は見抜くことはできません。

平井さんの著書「見抜く力」にはコーチ、指導者の神髄が書かれています。

「簡単にすぐ伸びる選手が才能ある選手だと私達は勘違いしやすい。しかし、ある程度の才能はみんなが持っているのだと私は思う。ただ、その鉱脈に辿りつくまでが掘り下げる努力がコーチにも選手にもつづかないことが多い。時間をかけ、手間暇をかけて発掘しないと未知なる鉱脈を見つけられないのだ。」

「「目力」といったらいいだろうか。選手を指導するとき、やる気のあるときは純粋な目をしたり、ランランと輝いているときもあるし、澱んでいるなと思うときもある。」

「自分の成績が伸びないのを環境のせいにしたり、人のせいにしたりする選手もいる。そういう人間は問題の本質から逃げることになれているので、結果のびない。」



私も、様々な企業(クライアント)で指導をしていますが、
経営者やスタッフには「琴線を読み解く」ことの重要性を説いています。

その部分が欠落している指導者がいると、人を育成するはできないし混乱を生み出します。

平井さんなど、人を導けるコーチ、指導者は、琴線を読み解く力があるのですが、
そういう人はすぐわかります。

指導する言葉が、非常に適切で、無駄がない。

指導者に不適格な人は、反対に、的確でなく、無駄な言葉が多い。

平井さんも、ワンポイントでアドバイスします。

ワンポイントでアドバイスできるということは、琴線を読み解いているから可能なのです。

人それぞれ、「響く言葉」があります。
アドバイスした選手が、一言で腑に落ちるようにしなければなりません。

「響く言葉」を用意できる人が、有能な指導者になれるのです。
逆に言えば、人それぞれに「響く言葉」を言えない人は、指導者としては不適格とも言えます。

無駄をそぎ落とした、「響く言葉」で、アドバイスした人が変われば、平井さんのように伯楽になれます。


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