2011年10月24日

TPP狂想曲は止まらない

TPP狂想曲は止まらない

財界、マスコミ(マスメディア)、官邸、官僚は、
「TPP参加すべし」「TPPに参加しないと世界の孤児になる」の大合唱です。

またまた始まった感じです。

「TPP参加へ反対しているのは農業だ!」「農業VS経済界」「農業VS製造業」
という論調を作ろうするやり口は、古いというか、姑息です。

TPP(Trans-Pacific Partnership)環太平洋連携協定は、農業だけなく、
金融、サービス、人の移動など例外を認めない、
末恐ろしい協定ということ国民に知らせないのは非常に大問題です。

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実は、医師会もTPPへの参加の懸念を表明しています。

「農業、農協だけが反対しているんじゃないの?」と思われている方は
不思議に感じるはずですが、先程述べた様に、
農業だけなく、金融、サービス、人の移動など例外を認めないのがTPPなのです。

医療も自由化すれば良いんじゃないのかと、考える方もいるかもしれません。
アメリカの医療の実態をご存じでしょうか?

当たり前ですが、私達は、国民皆保険により、誰でも保険料を払えば医療を受けれます。
米国では、医療を受ける為には、民間の医療保険への加入をしなければなりませんでした。

市場原理に基づく医療は、弱者への負担がのしかかり
無保険者は、4,634万人(米国民の約14%)にもなっていました。

※2010年オバマ大統領は、その状況を打開するために民間保険会社の抵抗にあいながらも国民皆保険を成立させたのです。


日医NEWS(日本医師会)HPに、
米国の医療実態について記述していましたので、ご参照ください。

http://www.med.or.jp/nichinews/n170520h.html

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第1049号(平成17年5月20日)(3)

第26回日本医学会総会ポストコングレス公開シンポジウム(第2回・東京)より
市場原理と医療
米国の失敗から学ぶ~第1回~
李 啓充(医師/作家(前ハーバード大学医学部助教授))


民間企業に支配された医療保険

 アメリカは,医療を市場原理で行っているため,民間の保険会社が販売する医療保険が主流となっている.
 ところが,市場原理で物事を運営すると,力の弱い人,お金のない人がシステムから排除されてしまう.その典型例が高齢者である.有病率が高い高齢者を対象に民間の保険会社が医療保険を設定すると,どうしても保険料が高くなる.すると,年金で暮らしている高齢者は,保険料が高いために保険に加入できないということになる.

 一九六五年まで高齢者の医療保険もすべて民間企業が運営していたが,ジョンソン大統領(当時)が,高齢者のために「メディケア」,低所得者のために「メディケイド」という公的医療保険をつくった.市場原理から落ちこぼれた人々への救済制度である,この二つの保険には,国家総予算の一六%という巨額の税金が投入されている.それでも救い切れずに,無保険者が四千万人以上いる.これがアメリカの医療保険制度の実情なのである


 さらに,市場原理で医療保険を運営すると,非常にお金がかかる.民間の医療保険会社は利潤を上げないと株価が下がるので,保険料を集めても,医療費を抑えることが美徳だとされている.アメリカの保険会社は,集めた保険料を百とすると,平均では八十一しか医療に還元していない.結果として,国民一人当たりの医療費支出は五千ドルを超え,日本と比較すると非常に高いのである.

 アメリカの一人当たり医療費支出のうち,二千三百六ドルを税金が占めている.この金額は,日本人一人当たりの医療費総額よりも高い.アメリカが使っている税金だけで,日本の医療費はお釣りがくるということになる.
 ポイントは二点.日本が極端に医療費を切り詰めていること.そして,アメリカは医療費を贅沢に使ってはいるが,医療を市場原理に委ねており,社会全体としては非常に効率が悪くなってしまっていることである.

市場原理による医療の問題点

 市場原理にリードされた医療には四つの問題点がある.
 第一に,力の弱い人が排除されてしまうこと.民間の保険会社が利益を優先させるために病人などを加入させなくなり,社会に無保険者が増加し続ける.

 第二に,力の弱い人,病気の人ほど負担が重くのしかかる,という負担の逆進性が挙げられる.大口顧客である民間保険加入者には,病院が医療費をディスカウントするが,値引き交渉をする術のない無保険者には高額を請求している事実がある.

 無保険者が病院を利用すると,病院に莫大な借金をすることになり,それが複利で膨らんでいく.さらに,この借金に対して,取り立て会社が持ち家に抵当権を設定し,債務者に対して逮捕状を請求する.こういった裁判の手続きや弁護士の費用までも次々と借金に加算されていくという,地獄のような制度なのである.現実に,医療費負債による個人破産が急増しており,非営利病院までもが,このような過酷な借金取り立てを行うので,無保険者にとって非常に厳しい社会ができ上がっている.

 第三の問題は,非営利病院が営利病院の経営手段を模倣しないと生き残れない,「バンパイア効果」.社会から,良心的経営をする医療機関が消えてしまう危険がある.

 第四に,市場原理を導入しても,医療費が下がる保証がない.アメリカでは,薬剤が非常に高い価格で販売されており,世界一高価な薬を患者は買わされている.
 「官製市場けしからん」といわれているが,医療を「民」に委ねてしまうと,このように恐ろしいことが起こるのである。

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日本医師会は、日本がTPPに参加した場合の懸念事項を4つ挙げています。

1.日本での混合診療の全面解禁(事後チェックの問題を含む)により公的医療保険の給付範囲が縮小する

2.医療の事後チェック等により公的医療保険の安全性が低下する

3.株式会社の医療機関経営への参入を通じて患者の不利益が拡大する

4.医師、看護師、患者の国際的な移動が医師不足・医師偏在に拍車をかけ、さらに地域医療を崩壊させる

どちらかと言えば、自民党寄りの医師会の情報HPに市場原理導入の恐ろしさ、TPP問題が及ぼす影響が如何に重大な結果に及ぶのか理解できるはずです。

負担、被害を被るのは我々国民であることをもっと認識すべきだとおもいます。



TPP狂想曲は止まらない。

「鎖国」にしても、歴史研究家によると「鎖国」ではなく「海禁」であったというのが、共通認識になっています。

海禁とは「私的な海外渡航や海上貿易を禁止する政策」(※出典;ウィぺディア)で、「鎖国」言われた江戸時代は、対馬ルート、長崎ルート、薩摩ルート、松前ルートの四つの海外へのルートがあったのです。

江戸を開いた徳川家康は、外国人を交易、外交顧問に採用し、積極的に交易をおこなう為に、通商交渉を海外へ打診しています。

現代でも、私達は勝手に海外へ渡航できません。
パスポートなど必要な書類、審査などパスしなければ、海外へ出れないのです。
そういうことをしなければ密航になるのです。

現代と、「鎖国」と信じられた江戸とは、そんなに変わりはないのです。

平均関税率も、農業分野をのぞけば、米国、EUとほとんど変わらないのです。
農業分野でも、EU、韓国より半分以上低いのです。

関税率でみると、すでに「いわゆる開い」ているのです。

「TPP亡国論」の著者、中野剛志氏が
TPP問題点を解説しているyoutubeにありますので、ぜひご覧ください。
マスコミでは報じられない核心を分かりやすく解説しています。





福島原発を引き起こしたのは「原発安全神話」ですが
そのことを省みず、「開国神話」を作ろうとする。

まさにデジャビュです。
国民もなめられたものです。

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この記事へのコメント
おはようございます☆

大変勉強になりました!
ありがとうございます。
Posted by First ☆ Star 屋宜朋子First ☆ Star 屋宜朋子 at 2011年11月12日 10:04
コメントありがとうございます。
参考になったでしょうか。
Posted by 伊敷豊伊敷豊 at 2011年11月13日 10:09
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