2011年10月16日
武田鉄矢さんは心で話す
私も、解説者などTV番組に出演する機会が時々ありますが
リハーサルでは何度も同じコメントをしゃべらされて
閉口してしまうことがたびたびあります。
繰り返しいると
だんだんセルフの様になって芝居じみているようなってしまうのです。
武田さんの番組の打ち合わせは、一見雑談で非常に手短でした。
単なる雑談ではなく私が何を言いたいのか、つかむためのようでした。
番組で、武田さんは、打ち合わせで、その人の話を掴んで要約し
言葉をつむぐのではなく
言葉の背景を洞察し、その本質をきっちり受け止め
話してから引き出し、広げようとする姿勢が素敵だなとおもいました。
司会である武田さんですが
脇役に徹するのは、紳士で、大人だなぁとおもいました。
友達と会話するとき
どんどん言葉を投入していきます。
いちいち話を振る時「○○さん、どう思う」とか言いません。
武田さんは、会話するとき、そういう状態をつくってくれるのです。
武田さんは語りながら「今度は伊敷さんへ話をふりますよ」と
言葉でない言葉で問いかけてくるのです。
言葉でない言葉で会話しているのです。
まさに以心伝心、心で会話できる人でした。
その様な人は、ほんの数名しかあったことがないので
「へぇ~」と感嘆し、すごいなぁーと思いました。
自分が、どのタイミングでしゃべればいいのか
どのようにすれば自然な会話になるのか、
言葉のキャッチボールができるのか、良く知っていました。
言葉のキャッチボールは、互いが通じ合えば合うほど
スムーズにいくんですね。
一時間でしたが、あっという間に過ぎてしまい、
「あれも言えば良かった」と思うほどでした。
日本人の非言語コミュニケーション能力は高かったのですが
残念ながら、どんどん劣化しています。
欧米化が原因です。
欧米は「言葉ありき」言語コミュニケーション社会です。
言葉に頼る、過信する社会になりつつあり
直観力、感性力、共感力、洞察力などの非言語能力が衰退してきているのです。
でも、東日本大震災で非言語コミュニケーション社会であることを
改めて世界に示したのです。
非言語コミュニケーション能力、社会は
私たちは当たり前と思っているからもしれませんが
世界では稀有な存在なのです。
日本人が、欧米人からなかなか理解されないのも
日本人以外は、言語コミュニケーション社会だからです。
武田鉄矢さんの番組でも話したのですが、
内田樹さんの「日本辺境論」に書かれているように言語コミュニケーションからすると
日本は辺境人ですが、言語コミュニケーション社会という観点からいうと日本は唯一であり
世界の中心にあるのです。
Posted by 伊敷豊 at 12:15│Comments(0)
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